塾生の成長を見守る中で、このようなサクセスストーリーも生まれています。

　それは、2020年、コロナの流行が始まる前の年のことでした。ある女の子が入塾しました。中3生、不登校、成績は悪い（オール2程度）といったひどい状況でした。「好きなことは何？」と聞くと「ダンス！！」との答えが返ってきました。中学3年間ずっと続けてきて受験をするからと、やめるつもりはないとのこと。
さてどうしたものか？どう導くか、正直頭が痛かったです。成績にしても、不登校であったといった過去の事実も変えられません。これから先、できることは何か？をスタッフ全員で考えに考えました。「好きな教科を伸ばして、嫌いな教科は平均点の半分で、よしとしよう。」「本人のモチベーションを上げるためにダンスは続けられるようにスケジュールを組もう。」この2点を指導方針としました。好きな英語と国語に、多くの時間をかけることにし、「志望校から考えると、英検4級または、3級は欲しい」そんな思いでした。

　このような方針のもとに塾での学習が始まりました。そして、本人の努力と指導の甲斐もあって、10月の英検で4級合格！となり、「やった！受かった」と彼女から初めて、うれしそうな笑顔が見られました。勉強に対して自信が持てた瞬間です。
　しかし、この間の道のりは、決して平坦ではありませんでした。「宿題やってないじゃない？」「ダンスが･････」、「志望校に入りたいんでしょ！ダンスもやりたいんでしょ！」、「はい･････」、「だったら、宿題は必ずやること！何があってもね」と会話を重ねました。しかし、そのような会話のあった次の日、驚くことに彼女は宿題を全部終わらせてきていました。この子は、負けん気の強い子でした。冬期講習中もダンスを続け、受験勉強もやり続けました。宿題忘れがある度に、このようなやり取りを何回も何回も繰り返しました。そして入試合格発表当日、「合格した！」となり結果を出すことが出来たのです。我々も、うれしいと同時に、正直ほっとしたことを今でも忘れることはありません。
彼女は、「できることを徹底的にやる。できないことはやらない。」という性格で、残念ながら、不登校は治りませんでした。というか、直すつもりがなかったですし、そんな力は私たちにはありません。ただ結果的に、現在自分で合格を勝ち取った高校へ通っています。彼女は、志望校合格 ⇒ 自信が持てた ⇒ 人生が上向いた。というステップを踏むことが出来たのです。私たちは、志望校に合格するための方法を考えて、それを本人に一生懸命実行させました。もちろん私たちも一緒になり、根気強く指導を続けました。英語や国語のすばらしさや将来どのように役立つかといったことを教えたわけではないのです。では、何を教えたのか？ それは、入試で英語を40点、国語を60点とり、すべての科目で合計220点を取るための方法です。その理由は、
・自分の行きたい高校に合格して自信を持ってもらいたかった。
・高校でリスタートを切ってもらいたかった。
・この子の人生はまだまだ長いので自信を持つことで輝く未来が拓け、困難をも乗り越えられるということを知ってもらいたかった。
それが、人生を左右する大切な教育に携わる私たちの強い思いなのです。